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高森明勅
2022.12.7 08:00皇統問題

「皇統」は男系も女系も含む「双系」的な概念という事実

政府は一貫して、憲法第2条の「世襲」には
男系・女系の双方を含むという立場を堅持している。
これは、憲法学界の通説でもある。

この場合の世襲とは「皇統」(皇室典範第1条)による
継承に他ならない。
だからそれは、皇統それ自体には女系も含まれることを前提とする。

それを、付属法である皇室典範が敢えて
「皇統に属する“男系の男子”」に限定しているに過ぎない。
だから、典範を改正すれば「皇統に属する男系の
女子、女系の男子・女子」も継承可能になるというのが、
当たり前の理解だ。

皇統とは“天皇のご血統”ゆえ、男性天皇の血筋だけでなく、
女性天皇の血筋も含まれるのは、普通に考えたら至極当然。
それは勿論、わが国本来の伝統である双系的血統観に合致する。

男系限定論者は、皇位継承の正統性の根拠である
皇統はもっぱら男系だけに限られる(つまり皇統=男系)、
と思い込んでいる。
しかし、それはシナ的な“男尊女卑”の考え方に基づく、
客観的な根拠の無い偏見に過ぎない。

皇統による皇位の継承が維持される限り、
王朝交替が起こるはずはないし、いわゆる「万世一系」
(皇位が、過去・現在・未来を貫いて、皇統によって
受け継がれること)にも変更は無い。
むしろ本気で万世一系を願い、皇位の安定継承を目指すなら、
頑なな“からごころ”(男尊女卑ー男系絶対主義、自覚なきシナ崇拝)
を綺麗サッパリ洗い去り、わが国本来の伸びやかな
双系的血統観(やまとごころ)に立ち戻るべきだろう。

追記

プレジデントオンラインの連載
「高森明勅の皇室ウォッチ」は12月9日午前11時公開予定。
先頃の秋篠宮殿下のお誕生日に際しての記者会見を取り上げた。

【高森明勅公式サイト】
https://www.a-takamori.com/

高森明勅

昭和32年岡山県生まれ。神道学者、皇室研究者。國學院大學文学部卒。同大学院博士課程単位取得。拓殖大学客員教授、防衛省統合幕僚学校「歴史観・国家観」講座担当、などを歴任。
「皇室典範に関する有識者会議」においてヒアリングに応じる。
現在、日本文化総合研究所代表、神道宗教学会理事、國學院大學講師、靖国神社崇敬奉賛会顧問など。
ミス日本コンテストのファイナリスト達に日本の歴史や文化についてレクチャー。
主な著書。『天皇「生前退位」の真実』(幻冬舎新書)『天皇陛下からわたしたちへのおことば』(双葉社)『謎とき「日本」誕生』(ちくま新書)『はじめて読む「日本の神話」』『天皇と民の大嘗祭』(展転社)など。

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